もしメンタル不調になった場合のお金の話。療養するために「傷病手当金」を利用しよう。

心の病 お金
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私自身の経験談ですが、もしメンタルが不調になって長期療養が必要になった場合にまず頭をよぎるのが「お金」の問題です。

家庭があった私は生活するためにどうしたらよいか悩みました。当時はインターネットからの情報でもあまり自身の役に立つ情報がなく困ったものでした。

今では多くのブログなどで情報を入手できますが、経験談からの話はありません。会社員で健康保険に入っていたら療養するために「有給休暇」の取得や、「欠勤」、「休職」、「長期療養」の流れとなると思います。

ここで焦って働きだすと私のように長期の泥沼にはまることになります。「傷病手当金」などの社会保障制度があるので、気にせず療養しましょう。

傷病手当金とは

病気やケガで会社を休んだときは「傷病手当金」が健康保険組合より受けられます。勤めている会社の規定や加入している健康保険を確認しておく必要はありますが、「傷病手当金」は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

療養
写真はイメージです。
ひなた
ひなた

メンタル不調で長期療養が必要になってしまいました。
生活費が心配です。

くろべえ
くろべえ

私も経験したのですが、日本は世界に誇れる国民皆保険制度があります。納めている保険料のうち一定額を「傷病手当金」で支給されるので大丈夫です。
まずは安心して療養に努めましょう。

ひなた
ひなた

健康保険でそんな制度があるんですか?ハードルが高そうで心配です。

くろべえ
くろべえ

毎月健康保険料を納めているのですから、療養のために必要と思えば大丈夫です。

傷病手当金の受給するための条件

次の条件をすべて満たす必要があります。ひとつでも待たさない場合受給できないので注意してください。

詳しくは、全国健康保険協会のホームページを確認するとよいです。現在お勤めの健康保険組合がある場合はそちらの制度をご確認ください。

業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

健康保険給付として受ける療養に限らず、自宅診療でも働くことができないことについての証明(療養担当者の意見書)がある場合は支給対象となります。
業務上・通勤災害(労災)や病気とみなされないものは対象外です。

仕事に就くことができないこと

仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見をもとに被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。

つまり療養が必要になった場合は医師に相談して「傷病手当金」を利用する旨相談した方がよいです。

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

業務外の事由で療養が必要になり仕事を休んだ場合に仕事を休んだ日から連続して3日間の待機期間の後4日目から支給されます。

待期期間は土日祝日、有給休暇は含まれ、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
待機期間が発生するということを念頭に入れておいてください。

休業した期間について給与の支払いがないこと

給与が支払われている間は支給されません。ただし、「給与の支払額」が「傷病手当金の額」よりも少ない場合は「その差額」が支給されます。

多くの会社は長期療養中の場合に給与が支払われないと思いますが、ご自身の勤めている会社の規程を確認しておくとよいと思います。

任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては「傷病手当金」は支給されません。つまりメンタル不調により会社を退職し、「任意継続」した場合に新たな病気・ケガについては注意が必要ということです。

支給される期間

「傷病手当金」の支給される期間は期間制限があります。療養を目的としておりますので、早期回復に専念し、回復後のプランを練る上でも重要な期間になります。

「傷病手当金」には期間制限がある。

「傷病手当金」が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。
これは、1年6ヵ月分支給されるということではなく、1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。

支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、「傷病手当金」は支給されません。

つまり、再発をして再度長期療養を強いられることになった場合に保障される期間が短いもしくは保障期間がなくなることがあるということを念頭に入れておいてください。要は再発しないようしっかり療養する方がよいということになります。

私は支給期間の制限期間を知らずに出勤し再発してしまい、お金に苦しむことになりました。メンタルが不調になった理由は職場に問題があることもあるので療養期間中に自身のキャリアプランを計画することをおすすめします。

資格喪失後の継続給付

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に「傷病手当金」を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。

ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、「傷病手当金」は支給されません。

つまり、職場環境などの問題でメンタル不調になった場合で退職した場合でも継続して就職先をゆっくり探しながら療養に専念できるということになります。

私の経験ですがお金の問題で焦って転職活動をして、そこがまたブラック企業でメンタル崩壊しても自身がつらい思いをするだけでした。
また、別の回で記載しますがメンタル不調になった場合に失業給付も自己都合扱いの失業給付ではないので、社会保障制度をよく理解した上で療養に専念することが必要と思います。

支給される傷病手当金の額

ひなた
ひなた

「傷病手当金」の精度については理解しました。
少し安心しました。

くろべえ
くろべえ

社会保障制度を理解しているとしていないでは大きな違いが出ます。
社会保障制度を利用して療養に専念するとよいと思いますよ。

ひなた
ひなた

自身のキャリアも見直す機会になりますし、療養に専念したいと思います。
気になるのはどのくらいお金がでるのかが気になります。

くろべえ
くろべえ

現在の社会保険料の標準報酬月額の平均額の2/3と思ってください。
ご家族に理解を頂けるならばご実家にしばらく帰り、
コストを抑えるのもよいかもしれませんね。

1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のことです。)

引用:全国健康保険協会

支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合

支給開始日以前の加入期間が12ヵ月に満たない方の支給額は、次のいずれか低い額を使用して計算します。

  • 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値
  • 標準報酬月額の平均値
    • 28万円(※):支給開始日が平成31年3月31日までの方
    • 30万円(※):支給開始日が平成31年4月1日以降の方
  • ※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

支給開始日以前に12ヵ月の標準報酬月額がある場合

支給開始日以前の12ヵ月の各月の標準報酬月額を合算して平均額を算出します。

傷病手当金が支給停止(支給調整)される場合

 次の項目にあてはまる場合、傷病手当金の支給額の一部または全部が調整されますので、ご注意ください。判明した場合には返金することになります。

  • 給与の支払いがあった場合
    • 休んだ期間について、給与の支払いがある場合、傷病手当金は支給されません。
    • ただし、休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。
  • 障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
    • 同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金の額(同一支給事由の障害基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。また、障害手当金の場合は、傷病手当金の額の合計額が障害手当金の額に達することとなる日までの間、傷病手当金は支給されません。
  • 老齢退職年金を受けている場合
    • 資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている方が、老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、老齢退職年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
  • 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
    • 過去に労災保険から休業補償給付を受けていて、休業補償給付と同一の病気やけがのために労務不能となった場合には、傷病手当金は支給されません。また、業務外の理由による病気やけがのために労務不能となった場合でも、別の原因で労災保険から休業補償給付を受けている期間中は、傷病手当金は支給されません。ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給されます。
  • 出産手当金を同時に受けられるとき
    • 傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給することとなります。

まとめ

長期療養が必要になった場合はまずは静養できる環境を整えることが先決です。生活に焦り職場復帰や再就職をすると泥沼にはまる可能性があります。

日本には国民皆保険制度があり、健康保険には「傷病手当金」制度があります。ただし、保障期間には限度があること、条件があることをよく理解しておくことが大切です。

また、万が一の時に備えて少なくとも1年分の年収は貯蓄をしておくこと、メンタルヘルスにも対応した生命保険に加入しておくことをおすすめします。

傷病手当金のポイント
  • メンタルが不調になり、長期療養が必要になった場合は、健康保険組合の「傷病手当金」の利用が可能
  • 傷病手当金には条件があり、療養目的であるため、働いてはいけない。
  • 傷病手当金は、休職中から退職後でも受給可能
  • 傷病手当金には支払期限があるので、療養に専念すること
  • 傷病手当金では不足分が発生するため、貯金をしていることが望ましい。

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